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困難な仕事

 今日は病棟で電動ベットの修理をしていた。

 病院のベットは頭が上がったり、足が下がったりと、なかなかのすぐれものだが、壊れてしまえば修理が必要になる。

 看護師さんに患者さんを他のベットに移すように頼んだが、重病だから、できたらそのままやってほしいということだった。

 患者さんは90才ぐらいのおばあちゃんで、目がうつろで、かろうじて生きているような様子だった。

 その病棟は「ホスピス」というわけではないが、そういう患者さんが多かったような気がする。

 新しく施行された後期老人医療制度では、そういう患者は病院にとって利益を生まない患者だから、できるだけ病院から追いだそうということが画策されているようだが、この病院はそういう寝たきりになってしまった老人を受け入れてくれるだけ良心的なのかも知れない。

 知り合いで母親が寝たきりになってしまって、病院をたらい回しにされているという人がいたが、私も80才を過ぎた母親を抱えているので人ごとではない。

 それと同時にこういう人たちを日々相手にしている看護師さんたちは肉体的ばかりではなく、精神的にきつい仕事だなと思う。

 この病院に来た最初の頃、ICUで手洗いの水漏れを修理していたら、ドカドカと医師や看護師が入ってきて一つのベットのまわりに集まってなにかをやっていたが、やがて奇妙な静寂が訪れた。

 何が起こったかはすぐに分かった。そのベットの上部に設置されているモニターに映し出される心電図や心拍数の波形がすべてフラットになっていたのだった。

 集まっていた医者や看護師は無言のままその場を去っていった。

 自分は単なる目撃者なのだが、ああ、あの人は死んでしまったんだ、という何ともいえない気持ちになった。

 しかし、死んでゆく人が日常接している人であり、日常生活のなかで、人間の死が、自分のすぐそばに横たわっているというのは、ある程度の精神的な強さが求められる職業なのだろう。

 

 

 

 

 

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